Thursday, January 17, 2013

「日本の教会の現状と展望」



 特集
村瀬俊夫師、武蔵中会 引退牧師

「プロテスタント宣教150周年と第5回日本伝道会議を踏まえて」標記のテーマで一文を寄せるように依頼され、困惑しつつも引き受けたのは、私が大会の渉外委員会から選出・派遣されて日本福音同盟(JEA)理事の職に就いているからです。

JEAの協力を得て昨年9月、札幌で開催された第5回日本伝道会議の主題は、「危機の時代における宣教協力 〜もっと広く、もっと深く〜」でした。日本の教会にとって、今が「危機の時代」であることは明白です。日本開国からプロテスタント宣教が150年に及び、戦後60年余を経ても、信徒数は60万余で総人口の0.5%に過ぎません。最近は教勢が停滞し、人口が密集した都市部以外の地域では、それが特に顕著です。これを打破するため、教派や地区教会の垣根を超えて協力し合う伝道体制を構築する道を求められています。

私が深刻であると思うのは、多くの地区教会に集まる信徒の高齢化が急速に進み、それに続く中年層や青年層の信徒が少なく、さらにそれに続く小中学生や幼児の姿がほとんど見られない、という現状です。このまま推移すると日本の教会の将来はどうなるでしょうか。心配は尽きませんが、真剣に打開する道を探りましょう。

日本長老教会の諸教会は、ほとんどが都市部にあるため、教勢は停滞気味(受洗者が減少傾向)であっても、ここ数年は会員数が微増状態にあります。信徒の養育がよく為されている結果である、と評価してよいでしょう。しかし、受洗者増による教勢の向上に転じなければなりません。

そのため一番に心がけたいのは、伝道の対象である人々の必要に真摯に応える努力を惜しまないことです。教会(あるいは伝道)の停滞の原因、救いを求めている人々の必要に教会が応えてないない、という一事にあるのではないでしょうか。この不安と閉塞状況が深まる時代に、救いを求める人々はたくさんいるはずです。その人々が救いを求めて来るのにふさわしい場所(まさに逃れ場!)に、私たちの地区教会がなっているでしょうか。

あえて申しますと、長老教会には長老教会らしい裃(かみしも)があり、それを着用することも意味があるでしょうが、救いを求める多くの人々にそれが目障りと映るなら、その裃を脱ぐぐらいの覚悟(というよりも自由や度量)が必要です。

教会の福音伝道に無くてならないものは、長老教会の裃ではなく、福音そのものの輝きではありませんか。十字架と復活の福音は、それを聴く者に、罪の赦しと永遠のいのち、そして神の子とされる特権を与えます。この福音が率直に告げられ、受け入れられる礼拝は、神の恵みへの感謝の応答として、明るく楽しく、愛と喜びに満ちています。それこそ、救いを求める人々の必要に応えるものなのです。

「互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」(ヨハネ13:34)。要は、この(福音の源である)キリストの戒めを心に刻み、実行することです。

日本長老教会
大会報 2010年1月20日

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